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中東情勢下のドバイ不動産市場はどう動いた?DLDデータで2025年・2026年を比較

中東情勢の変化を受けて、ドバイの不動産市場への影響を気にされている方も多いのではないでしょうか。

市場の状況を把握するには、ニュースの見出しだけでなく、実際に登録された取引の金額や件数を確認することが重要です。

今回は、ドバイ土地局(Dubai Land Department:DLD)が公開する取引データをもとに、2025年と2026年の1〜9月を四半期ごとに比較しました。

データからは、2026年は年初に前年を上回った一方、4月以降は取引総額・件数ともに前年を下回ったことが確認できます。その内容を詳しく見ていきましょう。

今回比較する「不動産取引総額」とは?

本記事では、住宅に加え、オフィスや店舗などの商業用不動産、土地を含めて集計しています。対象となる取引は、次の3種類です。

取引の種類 内容
売買 不動産を売買した際の登録
不動産ローンの担保登録 不動産を担保に融資を受ける際などの登録
贈与 不動産を無償で譲る際の登録

担保登録とは、不動産を担保にお金を借りる際に、銀行などの権利をDLDに登録する手続きです。日本の「抵当権設定登記」に近いものです。DLD公式説明

不動産購入時のローンだけでなく、すでに所有している物件を使った資金調達や、ローンの借り換えに関わる登録もあります。そのため、担保登録が増えたからといって、不動産購入が同じだけ増えたとは限りません。

本記事の「取引総額」は、これらを合計した金額です。売買代金だけの合計や、市場に新しく投資された資金の額とは異なります。

なお、日本円で規模を把握しやすいよう、すべての金額に1ディルハム(AED)=43円で換算した金額を併記しています。比較用の固定レートであり、各時期の実際の為替レートではありません。

取引総額は、2026年Q2以降に前年を下回る

四半期とは、1年を3か月ずつに区切った期間です。Q1は1〜3月、Q2は4〜6月、Q3は7〜9月を表します。

期間 2025年の取引総額 2026年の取引総額 前年同期比
Q1:1〜3月 1,931.6億AED
約8兆3,057億円
2,516.1億AED
約10兆8,193億円
+30.3%
Q2:4〜6月 2,373.0億AED
約10兆2,038億円
1,694.5億AED
約7兆2,863億円
−28.6%
Q3:7〜9月 2,355.0億AED
約10兆1,263億円
1,547.0億AED
約6兆6,523億円
−34.3%
1〜9月合計 6,659.5億AED
約28兆6,358億円
5,757.7億AED
約24兆7,579億円
−13.5%

出典:DLD公開取引データ「Real Estate Transactions」を集計。2026年10月13日時点の公開記録を使用しています。

2026年Q1の取引総額は、前年同期比で30.3%増加しました。しかし、Q2は28.6%減、Q3は34.3%減に転じています。

2026年の四半期同士を比較しても、Q2はQ1より32.7%、Q3はQ2より8.7%減少しています。

1〜9月全体では13.5%の減少ですが、四半期ごとに見ることで、年初と4月以降では取引の動きが異なることがわかります。

取引件数にも、同様の変化が見られる

金額と併せて、登録された取引の件数も確認しましょう。

期間 2025年 2026年 前年同期比
Q1:1〜3月 56,646件 59,955件 +5.8%
Q2:4〜6月 66,438件 49,565件 −25.4%
Q3:7〜9月 72,524件 51,167件 −29.4%
1〜9月合計 195,608件 160,687件 −17.9%

出典:DLD公開取引データ。集計範囲は取引総額の表と同じです。件数は登録された取引記録の数であり、売れた住宅の戸数や購入者数とは異なります。

取引件数も、Q1は前年を上回り、Q2とQ3は前年を下回りました。金額だけでなく、取引の数にも減少が表れています。

一方、2026年Q3の件数はQ2より増えています。取引総額は減少しているため、金額と件数は必ずしも同じ方向に動かないことにも注意が必要です。

売買は減少する一方、不動産ローンの担保登録は増加

取引総額を種類別に分けると、2026年1〜9月の動きは次のようになります。

取引の種類 金額の前年同期比
売買 −23.1%
不動産ローンの担保登録 +15.6%
贈与 +9.4%

出典:DLD公開取引データの区分別集計。

売買金額が減少した一方、担保登録と贈与の金額は増加しています。

ここで重要なのは、担保登録の増加を、そのまま購入需要の増加と捉えないことです。保有物件を使った資金調達や借り換えなどが関係している可能性もあるため、増加の背景を判断するには、さらに詳しい内訳が必要です。

市場全体の取引総額と、購入・売却に直接関わる売買金額を分けて見ることで、状況をより正確に把握できます。

取引総額の減少は、物件価格の下落率ではない

2026年Q3の取引総額は前年同期比で34.3%減少しています。しかし、これは「ドバイの不動産価格が一律に34.3%下がった」という意味ではありません。

取引総額は、取引件数や物件の種類、高額取引の有無などによって変化します。今回の数字には、売買以外の担保登録や贈与も含まれています。

個別の物件価格を判断する際には、同じ地域や建物にある、広さ・築年数・状態などが近い物件の実際の売買価格を比較する必要があります。

賃貸運用を目的とする場合は、購入価格に加えて、実際に契約された家賃、管理費、入居者が決まるまでの期間なども確認しましょう。

中東情勢との関係は、ほかの要因と併せて考える

今回の比較から確認できるのは、2026年Q2以降、前年に比べて取引総額と件数が減少したことです。

ただし、このデータだけで、減少の原因をすべて中東情勢に結び付けることはできません。新規物件の販売時期や供給量、大型取引、取引が正式に登録されるまでの時間なども確認する必要があります。

不動産購入を検討する際には、市場全体の変化を把握したうえで、購入目的と物件の条件を照らし合わせることが重要です。

JCMEでは、ドバイの不動産売買に関するご相談を受け付けています。購入や売却を検討されている方は、お問い合わせページからご相談ください。


データ・集計に関する注記

本記事は、2026年10月13日時点のDLD公開取引記録について、登録日を基準に各四半期を集計したものです。住宅・商業用不動産・土地などを対象に、売買・担保登録・贈与の登録金額を合計しています。賃貸契約や行政手続き全体の件数は含めていません。

日本円換算と増減率は、表示用に丸める前の金額から計算しています。比較条件をそろえるため、6四半期すべてに同じ集計方法を使用しています。公開記録の更新や集計範囲によって、DLDのニュース発表やほかの公表資料と数値が異なる場合があります。

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