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ドバイで法人を設立する流れ|会社選びからビザ取得まで

ドバイでの法人設立は、会社名を決めて申請するだけでは完了しません。最初に事業内容と顧客地域を整理し、それに合う設立地域、法人形態、ライセンス、オフィス、ビザを選ぶ必要があります。

特に注意したいのは、法人ライセンスの取得、居住ビザの取得、法人銀行口座の開設は、それぞれ別の手続き・審査であるという点です。会社を作れば自動的にビザや銀行口座が取得できるわけではありません。

本記事では、日本人経営者がドバイで事業を始める際の流れを、2026年8月4日時点のUAE政府などの公式情報を基に7つのステップで解説します。

この記事が向いている方

  • 日本からドバイへ事業を展開したい経営者
  • ドバイ移住と法人設立を同時に検討している方
  • フリーゾーンとメインランドのどちらを選ぶべきか迷っている方
  • 法人設立後にビザや銀行口座が必要な方
  • 日本法人を残しながらUAE法人を設立したい方

一方、「最も安いパッケージだけで決めたい」「法人を作れば銀行口座も必ず開設できる」と考えている場合は、設立後に事業運営が止まるおそれがあります。設立前に、契約、請求、入金、就労、会計まで含めて考えることが重要です。

結論:ドバイ法人設立は「設立後」から逆算する

ドバイ法人設立で最初に決めるべきなのは、会社名や設立費用ではありません。次の5点を先に明確にすると、必要なライセンスや設立地域を選びやすくなります。

  • 誰に、何を販売するのか
  • 顧客はUAE国内か、海外か
  • 店舗、倉庫、専用オフィスが必要か
  • 経営者や従業員のビザが何人分必要か
  • どの国から入金を受け、どこへ支払うのか

この設計が曖昧なまま設立すると、希望する活動がライセンスに含まれていない、必要なビザ枠を確保できない、銀行へ事業実態を説明できない、といった問題につながります。

ドバイで法人を設立する7つのステップ

ステップ 主な内容 確認するポイント
1 事業内容を整理する 商品・サービス、顧客、取引地域、入出金
2 設立地域と法人形態を選ぶ メインランド、フリーゾーン、株主構成
3 事業活動とライセンスを決める 許可される活動、追加承認、会社名
4 書類を提出し、ライセンスを取得する 定款、住所・オフィス、申請費用
5 ビザとEmirates IDを申請する ビザ枠、健康診断、保険、居住要件
6 法人銀行口座を申請する KYC、資金源、取引内容、実体
7 税務・会計・更新体制を整える 法人税登録、帳簿、申告、更新期限

1. 事業内容を整理する

UAE政府は、事業活動の特定を、法人形態とライセンス種類を選ぶ基礎と位置付けています。まずは「コンサルティング」「IT」「広告」「輸出入」のような大きな分類だけでなく、実際に提供する商品・サービスまで具体化します。

例えば、同じオンライン事業でも、自社サービスの提供、他社商品の仲介、EC販売、マーケティング支援では、必要な事業活動が異なる場合があります。規制対象の業種では、ライセンス発行機関以外の政府機関による追加承認が必要になることもあります。

この段階で、予定する契約書、請求書、ウェブサイト、顧客層、取引国を一枚にまとめておくと、その後のライセンス申請や銀行口座審査でも説明しやすくなります。

2. メインランドかフリーゾーンかを選ぶ

ドバイの主な設立先には、メインランドとフリーゾーンがあります。

  • メインランド:ドバイ経済観光局(DET)などの管轄で設立します。UAE国内での取引、店舗、顧客訪問、政府関連取引など、事業の実態に合わせて検討します。
  • フリーゾーン:各フリーゾーン当局の管轄で設立します。対象業種、施設、オフィス形態、ビザ枠、利用できるサービスはゾーンごとに異なります。

UAE政府の公式案内でも、フリーゾーンを選ぶ際は、まず事業分野を決め、その分野を扱うゾーンを選ぶ流れが示されています。設立費用だけでなく、顧客地域、必要な活動、オフィス、ビザ数、年間更新費用を比較してください。

フリーゾーンとメインランドの詳しい比較は、本シリーズの第4回で解説します。

3. 事業活動・ライセンス・会社名を決める

設立地域が決まったら、登録する事業活動とライセンスを選びます。メインランドでは、UAE政府が商業、専門、工業、観光など複数のライセンス種類を案内しています。フリーゾーンでは、各当局が認める活動とライセンスの範囲を確認します。

会社名は、すでに登録されていないこと、事業活動や法人形態と整合すること、公序良俗や宗教・政府機関に関する制限に抵触しないことなどが求められます。メインランドの標準的な手続きでは、事業活動と法人形態を決めた後、商号登録、初期承認、定款作成、事業場所の確保、必要な追加承認へ進みます。

なお、初期承認は「会社設立を進めることに異議がない」という意味であり、その時点で営業を開始できる許可ではありません。営業は正式なライセンス発行後に開始します。

4. 必要書類を提出し、ライセンスを取得する

一般的には、次のような資料を準備します。ただし、設立地域、株主が個人か法人か、事業内容によって必要書類は変わります。

  • 株主・取締役・署名権者のパスポート写し
  • 顔写真、住所証明、連絡先
  • 希望する会社名と事業活動
  • 定款や設立契約書
  • オフィス、コワーキングスペース、店舗などの契約書
  • 必要に応じて事業計画、資格証明、規制当局の承認
  • 法人株主の場合は、親会社の登記書類や取締役会決議など

フリーゾーンについてUAE政府は、多くの場合、基本情報と書類をオンラインで提出し、審査・承認後にライセンスが発行されると案内しています。公式ページには「多くの場合14営業日以内」とありますが、実際の期間はゾーン、事業活動、追加承認、書類の認証状況によって変わります。

法人株主を使う場合や、規制業種、実店舗・倉庫を伴う事業は、個人株主の一般的なサービス業よりも準備に時間がかかることがあります。

5. 居住ビザとEmirates IDを申請する

ライセンス取得後、必要に応じて会社の移民関連登録を行い、経営者・パートナー・従業員の居住ビザを申請します。ビザを取得する方は、申請区分に応じて、入国許可またはステータス変更、健康診断、Emirates ID申請、健康保険などの手続きを進めます。

UAE政府は、18歳以上の居住ビザ申請者に健康診断とセキュリティチェック、Emirates ID申請が必要と案内しています。また、DubaiのGDRFAは、投資家・事業パートナー向けのGreen Residenceについて、パスポート、写真、パートナーシップまたは投資契約、商業ライセンスなどを必要書類として掲載しています。

ただし、取得できるビザの種類・有効期間・人数は、法人形態、オフィス、設立パッケージ、申請者の役割や条件により異なります。「法人を設立すれば誰でも同じビザを取得できる」とは限りません。

6. 法人銀行口座を申請する

法人銀行口座の開設は、ライセンス申請とは別の銀行審査です。銀行は、会社と実質的支配者の本人確認に加え、事業内容、取引予定、資金源、資産形成の背景などを確認します。

申請前に、次の資料を整えておくと説明がしやすくなります。

  • 法人ライセンス、定款、株主・取締役情報
  • パスポート、居住ビザ、Emirates ID、住所証明
  • 事業計画、会社案内、ウェブサイト
  • 見積書、契約書、請求書、主要取引先の情報
  • 予想する月間入出金額、取引通貨、送金国
  • 既存法人または株主の銀行取引履歴
  • 初期資金の出所を説明する資料

UAE中央銀行のKYCガイダンスでは、金融機関が顧客の事業内容、資金源、資産形成の背景、想定される取引を理解することが重視されています。書類を提出すれば必ず開設できるわけではなく、必要資料や審査期間は銀行と案件によって異なります。

会社を作った後で口座の説明を考えるのではなく、設立前から「誰から何の対価として入金を受け、どこへ支払うか」を整理しておきましょう。

7. 法人税・会計・ライセンス更新の体制を整える

法人ライセンスの発行は、事業運営のスタートです。設立後は、法人税登録、会計記録、請求・入金管理、必要な税務申告、ライセンスやビザの更新を継続して行います。

UAE連邦税務当局(FTA)は、法人税の登録対象となる法人に対し、EmaraTaxを通じて法人税登録番号を取得するよう案内しています。法人税登録には、設立証明、商業登録証、ライセンス、一定割合を超える所有者や署名権者の本人確認資料などが求められます。

フリーゾーン法人も、法人を作っただけで自動的にすべての所得へ0%税率が適用されるわけではありません。税率や申告の考え方は、所得の種類、事業実態、取引、適用条件によって変わります。

ドバイ移住と日本側の税務を同時に検討している方は、前回の記事「ドバイ移住で税金はどう変わる?日本人経営者が最初に整理すべき5項目」もあわせてご覧ください。

初期費用と年間維持費は分けて考える

法人設立の予算は、初年度に払う金額だけで比較しないことが大切です。

設立時に発生しやすい費用

  • 会社登録・ライセンス発行費用
  • 会社名、初期承認、定款などの手続き費用
  • オフィス、店舗、倉庫、フレキシデスクなどの契約費用
  • 移民関連登録、居住ビザ、健康診断、Emirates ID、保険
  • 必要書類の認証・翻訳費用
  • 設立・銀行口座開設のサポート費用

設立後に継続して発生しやすい費用

  • 法人ライセンスとオフィスの更新費用
  • ビザ、移民関連登録、保険の更新費用
  • 会計、監査、法人税・VAT対応の費用
  • 銀行口座の最低残高や口座維持費用
  • 従業員を雇用する場合の労務関連費用

JCMEの現行サービスと費用の目安は「ドバイ法人の設立・銀行口座開設」でご確認いただけます。実際の金額と期間は、ライセンス、登記地域、オフィス、ビザ数、銀行審査によって変動します。

よくある失敗

設立費用だけでフリーゾーンを選ぶ

初年度の価格が安くても、必要な活動が含まれない、ビザ枠が足りない、翌年の更新費が高い、希望する銀行への説明が難しいことがあります。

ライセンス取得後に銀行口座を考える

銀行は会社の実体と取引の合理性を確認します。顧客、契約、入金、資金源を説明できない場合、追加資料を求められたり、申請が承認されなかったりする可能性があります。

法人と個人の税務を一緒に考える

UAE法人を設立することと、本人が日本の税務上の非居住者になることは別の問題です。日本法人、家族、住居、滞在、経営判断の場所などを含め、日本とUAEの専門家へ確認してください。

設立後の更新・会計・申告を見落とす

ライセンスを取得しても、更新や税務登録、帳簿管理が不要になるわけではありません。期限を一覧にし、誰が管理するかを設立時に決めておくことが重要です。

設立前チェックリスト

  • 提供する商品・サービスを具体的に説明できる
  • 顧客の所在地と取引地域を整理している
  • メインランドとフリーゾーンを事業モデルで比較した
  • 必要なライセンス活動と追加承認を確認した
  • 株主、取締役、署名権者を決めた
  • 必要なオフィス形態とビザ数を確認した
  • 初年度費用と年間維持費を分けて試算した
  • 予定する契約、請求、入金、支払いの流れを図にした
  • 銀行へ説明する資金源・資産形成の資料を準備した
  • 法人税登録、会計、申告、更新の担当者を決めた
  • 日本法人との取引や日本側の税務を専門家へ確認した

よくある質問

日本人でもドバイで法人を設立できますか?

日本人を含む外国人は、UAEで法人設立を申請できます。ただし、利用できる法人形態、所有要件、追加承認は事業活動と設立地域によって異なります。希望する事業を基準に確認してください。

ライセンス取得まで何日かかりますか?

必要書類がそろった後の期間は、設立地域、事業活動、株主構成、追加承認によって変わります。UAE政府は、フリーゾーンでは多くの場合、審査・承認後14営業日以内にライセンスを取得できると案内していますが、一律の保証ではありません。ビザと銀行口座は別途時間がかかります。

法人を設立すれば居住ビザと銀行口座も取得できますか?

自動的には取得できません。ビザは法人の条件と申請者の資格に基づき、銀行口座は各銀行のKYC・リスク審査に基づいて判断されます。法人設立前から三つの手続きを一体で計画することが重要です。

まとめ

ドバイ法人設立では、会社を作ること自体よりも、設立後に事業を継続できる設計が重要です。事業内容、顧客地域、ライセンス、オフィス、ビザ、銀行口座、会計・税務を順番に整理してください。

JCMEでは、事業内容に合う設立地域とライセンスの整理から、法人設立、居住ビザ、法人銀行口座開設まで一貫してサポートしています。日本法人との関係や移住計画も含めて検討したい方は「各種お問い合わせ」からご相談ください。

公式情報

※本記事は2026年8月4日時点の一般的な情報を提供するもので、個別の税務・法務・投資助言ではありません。ライセンス、ビザ、銀行口座、税務の条件・費用・審査基準は変更される可能性があります。実際の手続きと判断は、関係当局、金融機関、および日本・UAEの税理士、会計士、弁護士などの専門家へご確認ください。

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