ドバイは中東・アフリカ・南アジア・欧州を結ぶ国際ビジネス拠点として、多くの企業や起業家から注目されています。法人税率の低さやビザ取得のしやすさが大きな魅力です。
一方で、設立場所やライセンス、法人口座の開設方法を誤ると想定外の費用が発生することもあります。そこで、今回はドバイ法人設立の方法について解説します。
ドバイ法人設立
ドバイで事業活動を行うためには、ライセンスを取得する必要があります。
ドバイで法人設立する際は、下記の内容を総合的に判断して会社をつくることが大切です。
- どのような事業活動をするか
- どのライセンスを取得するか
- フリーゾーンとメインランドどちらにするか
- 居住ビザを取得するか
- 法人口座をどこの銀行で開設するか
- 会計にどのように対応するか
- 日本側の税務にどのように対応するか
ドバイ法人設立の件数
ドバイでは、法人設立・事業登録の件数が高い水準で推移しています。
法人設立件数は公開されていませんが、Dubai Chamber of Commerce(ドバイ商工会議所)の2025年度の新規会員企業数は71,830社。2024年末時点のアクティブ会員企業数は292,486社に達しました。
毎年70,000社以上が新規会員になっていることから、幅広い業種の企業がドバイ進出していることがわかります。
ドバイ法人設立が選ばれる理由
ドバイ法人設立が選ばれる理由は4つあります。
国際ビジネス拠点がつくれる
ドバイは中東やアフリカ、南アジア、ヨーロッパを結ぶ立地にあり、国際ビジネス拠点として活用しやすいです。そのため、越境ECなどのビジネスと相性が良いです。
また、ドバイ政府は経済アジェンダD33を掲げ、今後10年間で経済規模を倍増させる計画を立てています。近年ではIT、AI、ゲーム関連会社の誘致に力を注いでおり有名企業が進出しています。そのため、海外の企業との取引を増やしたいとお考えの方だとビジネスチャンスに恵まれることでしょう。
外国人が法人を所有しやすい
また、ドバイでは外国人が法人を所有しやすくなっています。UAE政府公式ポータルによると、現地株主やローカルパートナーの要件が撤廃されて、外国人が法人を所有できるようになりました。
また、フリーゾーンの場合は業種特化型エリアもあり、ビジネス支援や税制優遇が受けられるようになっています。
ただし、完全に自由な営業ができるわけではありません。業種や活動内容によっては追加許認可が必要になることもあります。
法人税率が低い
ドバイは日本と比較して法人税が低いです。2022年12月9日に法人税法が公布され、2023年6月1日以後に開始されました。これにより課税所得375,000AEDまでは0%、375,000AEDを超える部分は9%となりました。
UAE財務省は、法人税は企業に課せられる直接税であり、UAE法人だけでなく外資系法人も対象になると説明しており、違反するとペナルティを受けることになります。そのため、ドバイで法人設立する際は①法人税登録②会計帳簿③申告期限④フリーゾーン別の要件⑤税制を押さえておきましょう。
居住ビザを取得しやすい
ドバイで法人設立する際に、居住ビザの取得を組み合わせて検討されるケースが多いです。
一般的には投資家ビザやゴールデンビザなどを検討します。また、過去2年間の年間収入が36万AED以上の財務能力を証明できれば、グリーンビザを申請することも可能です。
このように、ビザの取得条件は法人形態やライセンス、本人の状況により大きく変わります。
外貨収入の管理会社を作れる
外資と取引がある経営者やフリーランスは、ドバイで法人を設立して外貨収入の管理ができます。
ただし、ドバイの法人口座の審査では①事業内容②取引先③契約書④資本金⑤本人の経歴⑥居住実態など厳しく審査されます。ドバイに法人設立すれば必ず銀行口座が開設できるわけではありません。そのため、銀行口座開設サポートの実績があるエージェントにご相談ください。
ドバイ法人設立の主な形態

ドバイ法人設立の主な形態には、フリーゾーン法人とメインランド法人があります。
フリーゾーン法人
フリーゾーン法人とは、ドバイのフリーゾーンで設立する法人をいいます。
フリーゾーンは業種に応じてエリアが分かれています。たとえば、貿易・物流エリア、ITエリア、金融エリアなど。フリーゾーンごとに、ライセンス費用や最低資本金、ビザ枠、オフィス要件、監査要件が異なります。
フリーゾーン法人のメリットは、外国人が100%所有しやすいことやパッケージが明確なこと、要件を満たせば税制優遇や支援が受けられることです。一方で、フリーゾーンはUAE国内での取引が制限されます。UAE国内で取引する場合はDET/DEDライセンスや許可が必要になります。
メインランド法人
メインランド法人とは、ドバイ本土で設立する法人をいいます。メインランド法人は、UAE国内の取引ができるため、飲食、美容、医療、不動産、小売、現地向けサービスなどに適しています。
メインランド法人のメリットは、UAE国内の顧客に直接営業しやすいこと、政府系取引や現地企業との取引に向いていることです。一方で、フリーゾーン法人よりも設立・運営が複雑になりやすいです。
業種によっては、ドバイ経済観光局(Dubai DET)以外の追加承認が必要になる場合があります。
ドバイ法人設立の費用相場
| 項目 | 費用 | 内容 |
|---|---|---|
| 法人登録費用 | AED 5,000〜15,000/回 | 会社名登録、法人登録、当局申請費用など |
| ライセンス費用 | AED 12,500〜50,000/年 | 商業、専門、サービス、貿易、産業などの事業ライセンス |
| オフィス費用 | AED 0〜20,000/年 | フレックスデスク、シェアオフィス、専用オフィス、倉庫など |
| ビザ関連費用 | AED 4,000〜8,000/人 | 投資家ビザ、社員ビザ、家族ビザ、エミレーツID、健康診断など |
| 会計・税務費用 | AED 1,000〜5,000/月 | 記帳、法人税登録、法人税申告、VAT対応、監査など |
| 銀行口座開設支援費 | AED 0〜10,000/回 | 銀行選定、書類作成、面談サポートなど |
| 更新費用 | AED 20,000〜50,000/年 | ライセンス、オフィス、ビザ、会計、監査の年次更新 |
※ドバイ法人設立の費用は、設立場所、ライセンス種別、ビザの有無、オフィス形態、株主数、業種、申請代行の有無によって変わります。
ドバイ法人設立手続きの流れ

ドバイ法人設立手続きの流れは以下の通りです。
1.事業内容を決める
最初に事業内容を決めます。
ドバイでは、ライセンスの記載内容の範囲で事業活動を行わなければなりません。
例えば、「ITコンサルティング」「EC」「不動産仲介」など、事業活動によって必要なライセンスが変わります。オンラインECの場合でも現地で商品を販売するには、関係当局からライセンスを取得する必要があります。
2.フリーゾーンかメインランドかを選ぶ
次にフリーゾーンかメインランドかを選びます。
UAE国外のビジネスが中心であればフリーゾーン、UAE国内向けに営業活動を行いたいならメインランドを選ぶのが一般的です。ただし、取引先や将来の展望、オフィス要件によって最適解が変わります。
3.法人形態を決める
法人形態によって、株主数、責任範囲、必要書類、オフィス要件、ビザ枠、銀行口座開設のしやすさなどが変わります。そのため、単に設立費用の安さだけで選ぶのではなく、事業活動の内容、取引先、将来の採用予定、UAE国内で営業するかどうかを踏まえて決めることが大切です。
4.商号を決める
次に商号(会社名)を決めて、関係当局に申請をします。商号には①宗教に違反する名前②既存ブランドと同じ名前③公序良俗に該当するものなどが禁止されています。関係当局に申請する前には、表記など誤りがないかを確認しましょう。
5.必要書類を準備、申請する
次に必要書類を準備します。
- 株主・役員のパスポートコピー
- 証明写真
- 住所証明
- 事業内容の説明
- 会社名候補
- 株主構成
- 親会社がある場合は登記簿・定款・決議書など
- 事業計画書
- 銀行取引や資金源を説明する資料
必要書類を関係当局に提出し、審査を受けます。承認後、法人登録証明やライセンスが発行され、法人として活動できるようになります。
6.ビザ申請を行う
法人設立後、必要に応じて投資家ビザ、社員ビザ、家族ビザを申請します。ビザ申請には、入国許可、ステータス変更、健康診断、エミレーツID登録、医療保険などが関係します。UAEで生活・就労する外国人には、居住ビザが重要な基盤になります。
7.法人口座を開設する
ドバイ法人設立後、多くの方が苦労しやすいのが銀行口座開設です。銀行口座開設を見据えるなら、設立前から以下を準備しましょう。
- 事業計画書
- 主要取引先の説明
- 見積書・契約書・請求書
- Webサイト・会社概要
- 株主の職歴・事業実績
- 資金資料
- UAEでの住所・連絡先
- 必要に応じたオフィス
ドバイ法人設立後に必要な会計対応
ドバイ法人設立後は会計対応が必要になります。
法人税を登録する
ドバイ法人を設立し、年間総収入が100万AED以上で法人税の対象となる方は法人税の登録が必要になります。FTAに登録申請を行い、Corporate Tax Registration Number を取得しましょう。
FTAの法人税登録サービスは EmaraTaxを通じて24時間365日できます。申請手数料は無料、申請提出にかかる目安時間は25分、FTAによる処理は20営業日とされています。
法人税申告
法人税は原則として各課税期間ごとに自己申告方式で計算・申告しなければなりません。
法人税申告書は課税期間終了後9か月以内に提出する必要があります。たとえば、会計年度が12月31日に終了する会社であれば、原則として翌年9月末までに法人税申告・支払いを行うイメージです。
VAT対応
UAEでは、VAT(付加価値税)が導入されています。UAE政府公式ポータルでは、UAEは課税登録された事業者に対し、課税対象となる商品・サービスの供給について、サプライチェーンの各段階で5%のVATを課すと説明されています。
会計帳簿と証憑管理
法人税申告のため、会計帳簿と証憑管理は必須です。そのため、以下は整理しておきましょう。
- 売上請求書
- 仕入・外注費の請求書
- 契約書
- 銀行明細
- 経費領収書
- 給与・役員報酬資料
- 株主・役員情報
- 取引先情報
- 移転価格関連資料
ドバイ法人設立のメリットとデメリット

ドバイで法人設立する前にメリットとデメリットを押さえておきましょう。
税制優遇を受けられる
ドバイは日本と比較すると税制優遇措置が講じられています。日本のような所得税や住民税はかかりません。また、法人税も、課税所得375,000AEDまでは0%、375,000AEDを超える部分は9%です。
他国と比べて低い税率であるため、節税効果を期待できます。
海外取引に向いている
ドバイは地理的にヨーロッパとアジアの中間に位置しており、世界最大級の空港であるドバイ国際空港から世界中へのアクセスができます。
また、ドバイの政策や税制優遇などにより世界中の法人、富裕層が集まっています。このような国際的なネットワークを活用したい場合は恩恵が受けられるでしょう。
ビザが取得できる
ドバイで法人設立をした場合、比較的容易にビザが取得できます。投資家ビザかゴールデンビザかによって変わりますが、1度の申請で2~10年間滞在することができます。
また、家族や社員のビザを取得することが可能です。比較的ビザを容易に取得でき、海外移住しやすいこともメリットと言えます。
物価が高い
ドバイで法人を設立する場合、運営コストも考慮しなければなりません。とくに影響が大きいのは、オフィス費用、水道光熱費、従業員の給料です。
ドバイ統計センターの2025年消費者物価指数では、「Housing, water, electricity, gas and other fuels」の構成比が40.68%とされています。そのため、ドバイにオフィスを構える場合は、想定以上に固定費が高く驚かれるかもしれません。
銀行口座の開設が難しい
ドバイで法人設立すれば、誰でも法人口座を開設できるわけではありません。なぜなら、マネーロンダリング対策の観点から審査が厳しくなっているためです。
会社の所有構造、実質的支配者、事業内容、取引目的、資金源などが確認されるため、提出書類や事業説明が不十分だと審査が長引く可能性があります。また、銀行口座が開設できないという事態も起こり得ます。そのため、法人設立時に準備しておくことが大切です。
法人の維持費がかかる
ドバイ法人は維持費がかかります。ライセンス更新費用、オフィスまたはフレックスデスク費用、ビザ更新費用、VATなどです。
また、UAEで従業員を雇用する場合には、就労許可の発行・更新費用も発生します。そのため、ドバイ法人設立を検討する際は、初年度の設立費用だけでなく、2年目以降の年間維持費を必ず確認するべきです。
JCMEGROUPのドバイ法人設立サポート内容

JCME GROUPではドバイ法人設立サポートをしています。弊社では、近年審査が厳しくなりつつある法人口座開設まで完全サポートしており、多くのお客様にご満足いただいております。
- 商業ライセンス許可証の取得
- 登記簿謄本/法人カードの取得
- ドバイ居住者ビザの手続き
- ファミリービザの手続き
- エミレーツ IDの取得
- メディカルチェック
- 保険加入手続き
- 法人印の作成
- 銀行口座開設手続き
※現地視察ツアーや会計顧問の紹介、オフィスの紹介なども対応可能です。
JCME GROUPの法人設立サポートについて詳しく知りたい方は『ドバイ法人の設立・銀行口座開設』をご覧ください。
ドバイの法人設立でよくある質問
最後にドバイの法人設立でよくある質問にお答えします。
ドバイ法人設立にかかる期間はどのくらいですか?
フリーゾーン法人であれば、書類が揃っていれば短期間で設立できます。ただし、業種、当局審査、ビザ申請、銀行口座開設の有無によって大きく変わります。法人設立だけなら早く進んでも、銀行口座開設まで含めると数週間から数か月かかることもあります。
日本に住みながらドバイ法人を設立できますか?
ドバイに法人を設立することはできます。ただし、銀行口座開設、ビザ、実体要件、日本側の税務などを確認する必要があります。日本居住者のままドバイ法人で事業活動を行う場合、日本側で課税されます。
まとめ
ドバイ法人設立は、海外取引の拡大や外貨収入の管理、ビザ取得を検討する方にとって有力な選択肢です。ただし、事前に確認すべき点は多くあります。設立費用の安さだけで判断せず、事業内容や運営に合った形態を選ぶことが大切です。ドバイ法人設立でお悩みの方は、法人口座開設までサポートするJCME GROUPにご相談ください。


